第10回「ランニング大学」報告

 東京海洋大学(江東区)で開催された新年最初のランニング大学のテーマは「何故、後半スピードが落ち、歩いてしまうのか」と「マラニックの創造」でした。
 村上春樹は墓碑銘の文句を自分で選べるとしたら、「村上春樹 作家(そしてランナー) 少なくとも最後まで歩かなかった」と刻んでもらいたいと書いています。フルマラソンも人生も、「歩き」を入れたり、止まったりすることはやはり良くない。タイムは悪くとも、「少なくとも歩かなかった」と胸を張って言いたいものです。
 私も、榛名湖マラソンの4、5周回目の急坂など一部をのぞき、歩いたことはありません。初フルだった2008年の荒川マラソン(現・板橋シティーマラソン)においても終盤の苦しい場面で、山西哲郎先生が土手に腰掛け「青春の巨匠」の雰囲気を漂わせているのを発見し、奮い立って走り抜くことができました。
 だが、本当にそうだったのだろうか、と今になって思うのです。荒川マラソンの完走証には5キロごとのラップが記されているのですが、見直してみると、最初の0〜5キロが25分、35〜40キロはなんと40分もかかっている。5キロを40分、キロ8分での「走り」が果たして可能なのでしょうか。あるいは、シャーベットを食べたり、沿道の人にエアサロンパスをかけてもらったりしながら、7分半で走れば、このタイムになるかもしれない。
 しかし、歩いたのにそれを認めたくないため、歩いた事実そのものを年月をかけ忘れてしまうことだってあるんじゃないか。そう考えると怖いですね。だが、こうも言える。仮に歩いたことを忘れたのだとしても、それにより「歩き癖」がつかなかったのであればいいのではないか。
 後半は「マラニックの創造」。5班に分かれ、海洋大キャンパスを飛び出しました。時節柄、豊洲市場を目指す班が多かったのですが、われわれは豊洲市場だけでなく、付近の鉄道跡なども見学しました。豊洲はかつて石炭埠頭として、日本の戦後復興、高度経済成長を支えました。鉄道跡はその名残。現在だけでなく、時空を超え走ろうというわけです。
 鉄道跡は、豊洲運河の春海橋に並行してかかる晴海橋梁にあります。橋梁自体が残っているのです。貨物線として越中島駅(現・越中島貨物駅、京葉線越中島駅とは異なる)から延びていました。橋梁の晴海側にはつい最近まで、小野田セメントの工場がありましたが、いまはもうありません。昭和の面影は、タワーマンションに埋もれ、消えつつあるのです。
 豊洲市場は、盛り土問題なのでニュースで伝えられるイメージと違い、きれいだったとの声もありました。この一帯は2020年東京オリンピック・パラリンピックの主要施設が集中するところでもあります。さらなる変貌を遂げるのでしょうね。(S)

東京海洋大学を出るとまず、京葉線越中島駅(後方に地下駅の入り口)

 

線路が残る晴海橋梁。後方は晴海のマンション・ビル群

 

豊洲市場に到着し、早速写真撮影

 

湾岸地区の開けた風景を堪能する群馬県のランナー(左)

 

中央分離帯で孤立。後方はゆりかもめ線

 

晴海大橋は、高速道路が建設中(右上)


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  • 2017.05.01 Monday
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「ランニングの世界」は元ランニング学会会長の山西哲郎が編集主幹をつとめ、ランニング学会の有志が編集委員となって発刊したもので、ランニングを歴史、文化、科学等色々な切り口で掘り下げています。ランニング学会の設立趣旨を思い出させるような“知的・感性的ランナー”のための本です。 大会情報やトレーニング方法中心のランニング情報誌とはひと味違って、「人はなぜ走るのか、人は何を求めて走るのか。」という原点に立ち返って、より広くより深く「ランニングの世界」を見つめ直してみようという趣旨の元に創刊されました。

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